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「七月七日。」






 「で、どれが織姫でどれが彦星なの?」
 「あの三角形になる辺り、わかりますか?」
 「あー……あれ!」 
 確か、夏の大三角形とか言ってたはず。可奈は遠い過去の記憶を探る。小学生の時に習ったはずだ。
 星座版と空を見比べて、位置と名前を確認してみる。
 こと座のベガとわし座のアルタイル。そうかそうか、あれが織姫と彦星か。

 想に星を見たいから見かたを教えろ、と電話したのはもう夜の九時を回った頃だったか。
 時計を見ると、もう十一時近い。
 夢中で星を見ていると、時が過ぎるのが早い気がする。


 こうやって、じっくり星空を見上げるのは、初めてかもしれない。
 ただ、漠然と、星があって。月があって。
 星座や天の川なんて、意識して見たことはなかった。  
 ……見上げても解らなかったし。

 「水原さん、そろそろ帰りましょう」
 疲れたように、想が言う。
 「えー!もうちょっと見ててもいいじゃん」
 「その格好で帰るんでしょう?……危ないですよ、一応女性なんだから」
 一応とは何だ、一応とは!
 格好に気が付いてるんなら、何か感想を言えよ!
 可奈は反射的に想の頭をはたいた。


 星を見よう、なんて本文は本心で半分は建前。
 七夕だからと浴衣を着てみたら、思いのほか上手く着付けが出来、折角だから誰かに見せようかなーと、思い立ち……
 想に電話をかけたのに。

 はいはい、どうせ、期待した私がバカでしたよー。

 コロコロと音を立てて歩を進め、帰り道へと可奈は向かう。
 「帰る」
 「送ります」
 掴まれた手が熱い。
 いいよそんなの、と手を払おうとすると、想は首を振った。
 「送ります。もう少し一緒に、星を見せてください」
 真っ直ぐ見つめられてそんなこと言われたら。
 断る言葉が見つからない。
 

 黙って、そのまま歩き出す。
 手は繋いだまま。





 辺りの静けさに、二人分の足音だけが響く。
 「水原さん、知ってますか?」
 小さな声で、独り言のようにそっと、想が言う。
 「七夕って、アジア圏の限られた国でしかお祝いしないんですけど……」 
 「…………」
 返事をしないからか、言いづらいことだからか。
 そこから先の言葉が、なかなか繋がらない。
 ころん、ころんと、下駄の音ばかり耳に入ってくる。
 
 繋いだ手は、熱い。
 横は見ず、ひたすら足先を見る。
 自分の顔を見せたくないし、どんな顔をしてるのか見る勇気も無い。

 「……それで、お祝いが何なの?」
 無言の時間が気まずくて、つい、訊ねた。
 棘のある感じなのは、さっきまでの不機嫌のせいか、照れ隠しのせいか。

 「……日本以外では、……恋人たちが一緒に過ごす日、……なんです!」
 搾り出すように、恥ずかしそうに。
 ちょっと震える、声。

 びっくりして隣を見ると、真っ赤な顔をした想が、あさっての方向を見ていた。
 「期待しちゃうじゃないですか……そんな、可愛い格好して来てくれるんだから! ……でも、時間も遅いし、危ないし、水原さんは星のことしか話さないし……」 
 外を見ながら、ぶつぶつと文句を言う姿が、なんだか可笑しい。
 可奈は抑えきれずに、声を上げて笑い出した。
 「……水原さん?」
 訝しげにこちらを見られ、可奈はごめんごめんとあわてて手を振る。

 なんだ。
 なーんだ。
 ちゃんと燈馬君は、気が付いてくれてたんだ。

 「燈馬君」
 潤んだ目を拭って、ようやく笑い止んで。
 まだ跳ねる声で、呼ぶ。
 「なんですか?」

 「付き合ってくれて、ありがとう」 
 「……はい」
 


 街灯が明るくて、もう、星はほとんど見えない。
 明るく光っているものだけ、点々と。
 足どりは、軽い。
 
 「ねぇ、もうちょっと一緒にいようか」
 「え?」
 「あと一時間くらいしかないけど……まだ七日だよ」

 特別な日、なんでしょ?と笑うと、想はまた耳まで真っ赤になった。




『あかねいろ』の月真様よりフリーss&イラストを頂きました!
7月7日、いつものように素敵証明サイト様を巡っていた私は、素敵に可愛いイラストと、ssに、心臓ぶち抜かれて速攻頂くと言う名の強奪をしておりました!!!!!!!!!
可愛いvvvv 可愛いんですイラストもssもッ!!!!!!!!!! 可奈ちゃんのいじらしい乙女心とか、燈馬君の人知れぬドキドキ感とか超かわいいvvvvvvvvv
イラストの二人、さりげなく手をつないでいる辺りでずきゅんですよ死語でもずきゅんですッッ!!!!!!!
 真月様、本当にありがとうございます!!!
2010/08/07掲載